2012年3月5日月曜日

100円のコーラを1000円で売る方法(中経出版)

著者:永井孝尚 出版社:中経出版 発行年:2011年 本体価格:1400円
 まさしくネーミングと表紙カバーのセンスの良さの勝利。もともとは、「朝のカフェで鍛える実践的マーケティング力」という書籍で秀和システムから発売されていた本。タイトルを変えることで、内容がほぼ同じであっても顧客に対する訴求力がアップした。また装丁も某ボトリングの実際の商品を彷彿とさせていて、しかし意匠法などには触れない見事な装飾。赤と黒のバランスで書店の棚に並んでいても読者の目をひく装丁となっている。そして内容は、まあ伝統的なマーケティング理論のうち、代表的なものを章ごとに分けて、さらにストーリーじたてにするという「読みやすさ」優先。巻末にはコトラーやセオドア・レビットなど代表的な学者の著作物が参考文献として並んでいる。「キャズム」も並んでいるが、キャズム理論をこういう風に説明するとは思わなかった…という著者の手腕に読みふけるという楽しさも。「顧客の声に耳を傾けることが最悪の結果を招くことも」という「カスタマー・マイオピア」という概念が個人的には新鮮。どうしてもミクロ的にクレーム対応の結果を改善していけばそれが良い商品になると思い込んでしまうが、そういうシンプルなものでは商品開発はないようだ。

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