2012年3月21日水曜日

銀行員のキミョーな世界(中央公論新社)

著者:津田倫男 出版社:中央公論新社 発行年:2012年 本体価格:780円
 バブル世代の大学生にとっては、あるいはバブル崩壊直後の大学生にとっては金融機関への就職というのはラスト・オプションだったような気がする。人気企業ランキングでも一時期都市銀行の名前がすべてランクインしなかった時代もあったはずだが、最近また一部の巨大グループが人気企業になってきているらしい。ただ銀行の職員の顔ぶれもパートタイマーあり派遣社員ありで多様化してきているのは事実。それはまあ一時の正社員オンリーの組織形態よりも健全な姿であるような気はするが、給与面は本書36ページにもあるように報道各社や総合商社と比較してもとりわけ高給というわけでもなくなったらしい。まず金融機関への就職を考える学生にとっては「どういう人間が選抜されるか」など将来のためになる内容が盛りだくさん。そしてほかの業種の社会人にとっては、融資を受けたりするうえで「金融機関の思考回路」を理解しておくうえできわめて有用。途中融資を断られるエピソードも挿入されているのだが、金融機関が融資で利息分を稼ぐというのは一部のホールセールのみが対象で、あとはカードローンなどで儲けたいんだな。ただしカードローンなど利用した客には本来の融資を実行する可能性は少ないだろうな、と理解できてくる。

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