2012年3月5日月曜日

クマムシ?!(岩波書店)

著者:鈴木忠 出版社:岩波書店 発行年:2006年 本体価格:1400円
 高校時代の「生物」などではゾウリムシやミドリムシはあまり受けが良くなかったような気がする。ただこの「クマムシ」はネーミングどおり「クマみたいなムシ」。微生物といえば微生物なのだが、拡大写真をみるとクマそっくりで非常にかあいい。巻頭の口絵のなかには顕微鏡にむかって視線があっているクマムシなども掲載されていて非常にかあいい。大きいもので1ミリ、ほとんどものは0.1ミリから0.8ミリというからやはり微生物だが、その種類は2005年2月時点で960種類(12ページ)。著者は勤務先の慶應義塾大学の建物のコケを水にひたしてクマムシの観察を初めて論文発表や書籍をものしてしまうのだから、人生を楽しんでいる様子が文章のなかから漂ってきて読んでいる読者も楽しくなる。文章がうまいというのもあるのだと思うが、通常であれば「きも」となるところが産卵の描写やワムシを食べてしまう描写も普通のお産や食事の光景のように思えてしまうから不思議。このクマムシ乾燥してもまた水に浸すと蘇ってしまうという特性(すべての種類にそれがあるわけではない)もあったり、海のなかに住んでいる種類(それがもともとのクマムシ)もいたりする。この1冊読んだだけでクマムシについてはちょっと詳しくなれると同時に、身の回りの環境をまた別の視点で見つめ直すことができるというメリットも。

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