2012年3月10日土曜日

ラーメン屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら(幻冬舎)

著者:木村康宏 出版社:幻冬舎 発行年:2011年 本体価格:1300円
 「もしドラ」のベストセラー以後、「女子大生」が「マーケター」になったり、「キャバクラ嬢」が「行政書士」になったりとあれこれ同工異曲の本が書店に出回ったが、そのなかでも内容で高い評価を受けているのがこの本。老舗のラーメン屋だが、客の入りが悪くなってきているところに娘の大学のマーケティングコンサルタントがアドバイスにやってくる…という寸法。チェーンストアのラーメン屋や新規出店のラーメン屋、あるいは牛丼屋などを敵情視察して戦略を決めていくあたりは、他の事業分野でも再現性がある。コストをかけるべきかべきでないかというあたりの論拠もしっかりしている。圧倒的な差をつけるには「1.3倍」が基準というのも、この本を読んで初めてしった。1.3×1.3の約1.7倍で圧倒的な「差」になるというのにも納得。こうした数字の使い方もうまい。同工異曲ではあれど、ドラッカーの「顧客創造」といった概念よりももっと身近なマーケティング理論の入門になっているので、読みやすいし参考にもなる。ただ、もうこの路線、さすがに頭打ちになってきたのは事実で、さすがに別の切り口で経営学なりマーケティングなりの紹介をしていく切り口を見つけないと、出版社の「志」そのものが疑われることにもなりかねないかも。

0 件のコメント: