2012年2月21日火曜日

ソロモンと奇妙な患者たち(筑摩書房)

著者:野村潤一郎 出版社:筑摩書房 発行年:2000年 本体価格:819円
 動物が好きな人にはとってもオススメな文庫本。ただし現在は廃刊で、注文するとなるとamazonで購入するしかない。こういう良書が廃刊になってしまうご時世とは…。獣医の著者が自宅に飼う動物の種類は当時で120種類以上。ソロモンはアルビノのスカンクで表紙にもなっている。さまざまな動物とのふれあいも楽しいのだが、ときたま垣間見える著者の独自の哲学がいかにも肉食動物的で、それがまた好ましい。命を大事にする…というのは、自然に動物を野放しにすることではないという著者のメッセージがとても強く伝わってくる本で、しかも著者は犬ズキ。人間と犬とはセットで生まれてきた…という哲学は、動物を飼育することで双方がコミュニケーションし、相互に人生を生き抜くという覚悟にもつながる。動物と人間とのコミュニケーションの物語とも読み解けるが、動物を媒介とした人間どうしのコミュニケーションもまた興味深い。「お岩ガン」「脳味噌タランチュラ」などのあだ名をつけられた(おそらく)元不良少年たちの動物とのふれあいもまた楽しい。

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