2012年2月10日金曜日

議会の迷走(集英社)

著者:佐藤賢一 出版社:集英社 発行年:2012年 本体価格:495円
 後楽園駅の丸善では平台の最後の1冊をつかみとって購入。バスティーユが陥落してから1年後、フランス憲法制定国民議会はカソリック教会に与えていた特権をめぐって紛糾。フランス軍隊を掌握したラファイエットは、ナンシー事件など平民と貴族の対立が根底にあるにもかかわらず首謀者を含む事件に参加した兵隊を殺害する。あくまで立憲王国制度をめざすミラボーだったが体調の悪化が続く…。いやあ面白い。華々しいフランス革命という印象がくつがえる「地道で陰湿な権力争いの構図」。基本はもちろん人権主義なのだろうけれど実際のところ、この本にあるような権力闘争が真のフランス革命の様相だったのだと確信する。純粋なルソーの信奉者から、権力志向の元貴族や司祭などさまざまな階級で「未来」を描いて、その「未来」が交錯したところで権力闘争が起こる。まだこの5巻ではルイ16世の家族は逃亡ははたしておらずロベスピエールもまだ国会議員の一人に過ぎない。第6巻ではミラボーがいよいよジャコバンクラブのトップにたつ。また本屋に走らなければ。

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