2012年2月7日火曜日

采配(ダイヤモンド社)

著者:落合博満 出版社:ダイヤモンド社 発行年:2011年 本体価格:1500円
 この本かなり売れているようだ。スポーツ関連の棚にあったが平積みで2011年11月発行で12月で4刷。おそらくはセ・リーグ優勝を果たしたにもかかわらず中日監督を事実上の「更迭」というめったにない事件も関係あると思う。また就任当初はかなり独自の戦略をとるのではないか、と予測されていたが実際には守りに徹したオーソドックスな野球。岩瀬と浅尾のダブルストッパーに対する考え方やリーグ屈指の井端と荒木の二遊間のコンバートの考え方など表面的な報道ではつかめなかった真相がわかる本になっている。とってつけたようなビジネスパーソンへの配慮のくだりが、個人的にはあまりなじめない本だったが、それでも面白いことは面白い。「できる」と「できない」をふまえた「采配」というのは、大学中退からプロ野球の三冠王へと山谷両方を経験した落合でないと書けないだろう。「面白い」というのは、いわゆる勝ち組の選手たちのエピソードではなく、心ならずもユニフォームを脱いでいった「負け組」へのくだり。目標を高く持つといった「勝ち組」へのアドバイスは「負け組」はそうではなかったのか、という反面教師の教えともなる。「勝てないときは負けない努力」というのも、「負けない努力」をしなかった選手がグランドをさっていたのだな、と裏読みできる構図に。あまり華のある引き際ではなかったが、まだまだ今後の監督就任もありうる落合氏。その野球理論と負け組のセオリーを知るのには面白い内容。

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