2012年1月4日水曜日

失踪日記(イーストプレス)

著者:吾妻ひでお 出版社:イーストプレス 発行年:2005年 本体価格:1140円 評価:☆☆☆☆☆
 1989年から物語が始まる。著者は漫画の仕事を突然放り出し、いきなり「失踪生活」へ。山の中で自殺を図るがかなわず、野宿生活を始める。で、その野宿生活がけっこう細密に描写されているのだが、これがけっこうなサバイバル生活。読者からすると、こういう生活だったら元の漫画家生活に戻ればいいのではないか、とも思うが、こればかりは本人でないとわからない動機付けがあったのだろう。何度か失踪生活を繰り返すたび、あるときには配管工として社内報に漫画を掲載するまでにいたる。さらにその後はアルコール中毒にかかり病院に強制入院へ。絵がわりとホンワカしているのだが、シチュエーションの書き込みは細密。逆説的ではあるけれど、こういう本を読むとかえって生きるエネルギーみたいなものがわいてくるから不可思議。

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