2012年1月17日火曜日

読書について(岩波書店)

著者:ショウペンハウエル 出版社:岩波書店 発行年:540円 本体価格:540円
 少し前の書店には、どれだけ小さな書店でも岩波文庫は必須アイテムだったような気がする。今はだいたいコミックかゲーム攻略本だが、コミックも最近では需要が減退しているのではなかろうか。岩波文庫の岩波文庫たるゆえんは古書などで市場価格よりも高い値段で買わなくても文庫サイズで新品が購入できるメリットにあると思う。本は一種の消耗品なので一部を除いてはたいてい捨てることになる(学者やジャーナリストなどは覗いてスペースがない)が、内容面は天変地異にあってもなにがしかの影響が身体に蓄積されているはずだ。で、読書についてショウペンハウエルは、学問のあゆみがときには後退的だし、いつの時代にも誤った主張が展開される、など否定的なニュアンスだ。あれ。
 しかし底流に流れる思想は、「選んで読め」「良心のない文筆家のものは読むな」という一種の限定条件であることに気づく。ウェブの時代であっても実は玉石混交で電子商取引のコメントも、実はあてにならない(実際にはほとんどやらせだろう、とひそかに思ってる)。新刊ばっかりに目をむけるなというショウペンハウエルの考え方(43ページ)、今の時代にも通じるなあ。あ、この本別にドイツ哲学についてあれこれっていうわけではない。しかしヘーゲルに人気をうばわれたショウペンハウエル、とおろどころにヘーゲルに対する敵意がちらついていて興味深い(142ページ)。

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