2012年1月12日木曜日

司馬遼太郎全講演2(朝日新聞出版)

著者:司馬遼太郎 出版社:朝日新聞出版 発行年:2003年 本体価格:660円
 消費税の増税はどうにも不可避で(民主党政権の動向からすると)、そうすると増税前の「駆け込み需要」がありうるかもしれない。書籍の多くは「本体価格+税」と表記されているので、定価の計算で混乱することは少なそうだが、では増税前に不動産を購入するのと書籍を大量に購入するのとではどちらがお得か?土地や建物といった不動産であっても天災などで価値が下落することもありうるが、読書でえた有形無形の知識や一般教養はたとえば書籍そのものがどこかに紛失しても自分の頭のなかに生き残る。少々消費税があがっても買うならやはり本。ということでこの司馬遼太郎の講演録の第2巻もまた非常に面白い。日本語の文体を生み出した夏目漱石や正岡子規といった文人の考察や昭和30年代の週刊誌の影響などの分析が興味深いほか、モンゴル遊牧民などに「遊牧」のノウハウをつたえたであろうイラン系と推定されるスキタイなど農耕文化と狩猟文化の二次元対比しかできない日本人の「私」からすると、司馬遼太郎の文化分析は「自由闊達」。これまでどうして読まなかったのだろう、と考えてみると「司馬遼太郎ってのはおっさんが読むもの」(いやそれ私もおっさんではあるけれど)と決めつけていて、本屋で実際に買って読もうとはしていなかったから。いや、「食わずぎらい」は良くない。

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