2012年1月14日土曜日

一流の条件(朝日新聞出版)

著者:野村克也 出版社:朝日新聞出版 発行年:2010年 本体価格:580円
 一種の「復刻版」だが、広岡元ヤクルト監督や落合元中日監督との対談などが収録されており、非常に貴重。現役のキャッチャーとしても功績を多々残した野村監督だが、鶴岡元南海監督との確執がさりげない一言にあったというのも感慨深い。人間の行動についても(34ページ)、がむしゃらな行動、余裕のある行動、行動のなかの余裕と3段階に分類してあり、単に「余裕がある行動」だけではプロフェッショナルとして通用するレベルではないことが指摘されている。また「限界」という言葉も「全知全能を傾注した努力+その積み重ね+2年間結果でず」というタイトな条件だが、南海の監督を解任されたあと、ロッテと西武で現役キャッチャーを続行した著者だからこそ説得力がある。現在、元ヤクルトの高津なども現役続行をぎりぎりまで続けているが、これは野村監督の影響が非常に大きかったのではなかろうか。けっしてアーチストの世界ではない。「職人」として、一定のレベルをみすえる「一流の条件」がこの本には示されている。

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