2010年1月4日月曜日

早わかりIFRS(PHP研究所)

著者:グローバルタスクフォース 出版社:PHP研究所 発行年:2010年
本体価格:760円 評価:☆☆☆☆
 コンパクトにIFRSと日本の会計基準の比較対照がまとめられ、さらに業務フローに与える影響についても言及されている。制度が変化して実際に経理部や経営管理などにどのような影響がでてくるかが最大の関心事となるが、実務畑らしいシステムの構築などについての対策も丁寧に説明されている。ただし内容そのものはある程度日本の会計基準を理解していないと「早わかり」というわけにはいかないだろう。減損損失の戻しいれなどについても国際会計基準では戻しいれるが日本では切り下げたまま…というような会計処理は一定程度の仕訳処理が頭の中に入っていないといきなり読んでも何がなんだかわからない読者もでてくるだろう。会計基準がシンプルになる面がある一方でかなり複雑に見積もりをしなくてはならない面もでてくる(有形固定資産の減価償却など)。各国の税法の違いによって税効果会計についても国ごとに計上される金額の比率が異なってくるわけだし、IFRSが導入されてもさらに「新しい難しさ」がでてくる可能性が高い。実際には、おそらくダブルスタンダードで個別財務諸表については日本の会計基準、連結財務諸表については国際会計基準という使い分けとなる一方で、上場していない中小企業などほとんどすべての国内企業は国内基準で財務諸表を作成していくという構図になるのではないかと感じた。ポイントなどがコンパクトにまとめられ図版も丁寧に作成されており、一定の理解がある人にとっては面白く読める新書のはず。

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