2010年1月10日日曜日

「夜のオンナ」の経済白書(角川書店)

著者:門倉貴史 出版社:角川書店 発行年:2009年 本体価格:705円
評価:☆☆☆
 世界の夜ビジネスやアングラマネーについて経済の観点から分析した新書。前半は国際バージョン、後半は国内バージョンとなっているが、個人的には国際バージョンの前半のほうが興味深い。ユーラシア大陸の「国境」というのがまさしく人工的な架空の境界線で、アングラマネーや人身売買などが国境をかるがると超えていることがわかってくる。タイの夜のビジネスはベトナム戦争の遺産であることやミャンバーではサイクロンの季節になると夜の経済が活性化することなどが紹介されている。地図がそれぞれのページに記載されているともっとわかりやすくなっていたはずだが、具体的な地名が頻出する前半は世界地図を横において読み進めていくことをお勧め。お隣韓国の厳しい取締りなどが日本に与えている影響(2004年9月施行の韓国の法律)も微妙に伝わってくる。
 世界不況とともに微妙な影が「夜」の消費も抑制し、ブランド品など高級品の売り上げにも影響。それがまた昼間のビジネスの所得低下に影響していく…という夜と昼の関係もよく理解できる内容に。「経済白書」となっているし、著者も近代経済学の素養のある経済学者だと思うが、この本に関してはルポタージュ的な読み方をしていくと身近なところに思わぬ関連があることを再発見できると思う。

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