2010年1月25日月曜日

ガール(講談社)

著者:奥田英朗 出版社:講談社 発行年:2009年 本体価格:552円
評価:☆☆☆☆☆
 男性と女性とでは時間の流れ方が違う。そんなことを感じ始めたのはもう中学生のころだったか…。この本では30代前半~中盤の女性が主人公になっているのだが、「ううむ、こんなことを考えているのか…」としばしショックを受けるような描写が。いや「ガール」から「大人」への切り替え時期が最近難しくなってきたとは思っていたが、実際にはそれはマンションの購入だったり新人の研修だったりするわけで、それは男性とはまた違う時の経過だ。20代後半と30代前半とで男性の場合にはさほど大きな違いがあるわけではないが、女性の場合には合コンに誘われる回数や得意先からもらうコスメの数などでだいぶ違ってくるものらしい、いや違うのだろう。
 22歳と34歳のOLがつばぜりあいをみせる「ガール」が一番すさまじいが、それ以外にも「ひと回り」と題する短編で「奥田ぶし」が炸裂。ここまで残虐に心理描写していいものかどうかわからないが、少なくともこの本の主人公は30代の女性で、そうした機微にはまったく気がつかないのが「おっさん」という人種という位置づけ。ああ、そういやこの手の小説で「おっさん」というのが一番どうでもいいポジショニングではあったのだな、昔も今も…

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