2010年1月25日月曜日

7割は課長にさえなれません(PHP研究所)

著者:城繁幸 出版社:PHP研究所 発行年:2010年 本体価格:700円
 痛快な内容。具体的な政党名や団体名もあげられているが日本共産党と経団連の主張が良く似ていること(正社員の権利を保護)や、その一方で非正規社員については雇用調整の対象となること、そして企業の内部留保や雇用調整といった手段は必要不可欠であることなどをビシビシ指摘。特に旧日本社会党については連合のロビー団体として既得権益の保護にはしったと手厳しい。企業の内部留保を取り崩して人件費にあてるという考え方も確かにないわけではないが、その場合には新規の設備投資ができなくなるため遠からず会社は倒産することになる。組合活動のビラを読んでもいまひとつ全面的に共感できないのは既得権益は保護しつつ、さらに新たな権益も「闘争」で勝ち取るというかなり、虫のいい話ばかりが書いてあるからかもしれない。既得権益については企業も組合側も譲歩して、若い世代に譲るという調子であれば問題はないと思われるが…。で、つねづね個人的にも考えていたのと同じことを著者は指摘していたが派遣雇用への規制強化は、企業の派遣切りを加速化させるだけで、失業率そのものは逆にあがっていくであろうということ。現在の制度のもとでは、規制が厳しくなればなるほど雇用のリスクが企業にとっては高くなるため、民主党が最低賃金法やら規制強化やらを進めれば進めるほど雇用調整が必要な企業は身軽な会社にしてしまう。その結果、リストラをしてかえって人手不足になるという会社が続出していくだろう。この新書、身近な問題から遠くの(10年後の?)問題まで説得力をもって「予測」というよりも「実現する未来」を簡潔に述べてくれている。面白いし、わかりやすい。

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