2010年1月3日日曜日

独断流「読書」必勝法(講談社)

著者:清水義範 西原理恵子 出版社:講談社 発行年:2009年 本体価格:629円
 岩波新書から出ていた「文学入門」の巻末に世界文学の名作リストが掲載されており、20代のころはそのリストにしたがってどんどこ読んでいた。すべてがすべて面白かったわけではないが、「読書には読むべき時期がある」という清水氏の指摘は正しい。だっていまさら「魔の山」とか最初から読むなんてことはとうていできず…。「坊ちゃん」「ロビンソン・クルーソー」「伊豆の踊り子」「ガリヴァー旅行記」「罪と罰」といったような作品について清水義範が文章、西原理恵子がイラストで「語る」。これがかなり面白い。プロの小説家がプロの作品を論じるわけだから、「ここはこういう説明が欲しかったがそれを無理やりこうやってもっていくあたりが…」という作り手からの視点が本当に面白い上、文章を読むのがあまり好きではないらしい西原理恵子がまたまた毒をあちこちではく。この組み合わせ、だれが最初に考えたのかわからないが、「毒」をもって「毒」を制するみたいなバランス感覚でちゃんと1冊の本として成立するあたりが構成の面白さ。編集者が考えたのかなあ。なかなかでてこない発想でアイデアが面白いうえ、さらにその上に読みやすい文章と毒のあるイラストのてんこ盛りだから、一種の「海産どんぶり」みたいな面白さがただよう。解説そのものが作品になってしまうというのがいいなあ…。

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