2007年9月30日日曜日

整理学~忙しさからの解放~

著者名;加藤秀俊 発行年(西暦);1995  出版社;中央公論社
 いわば情報整理の名著とよばれている本。アイヌの口承文化からメモの重要性や「記憶の伝承」といった方向へテーマをもっていく格調の高さと文章の明晰さが素晴らしい。アナログ時代に執筆されたとは思えない情報整理の鋭さがあり、書類の規格化の重要性やカードによる情報の「視覚化」といった手法は非常に参考になる。最近流行の「見える化」というのもおそらくもともとはKJ法やこの「整理法」に由来するところが大きいだろうと思う。カードも実際に情報をいろいろ書き込んで、テーマごとに分別するということをやってみると、アイデアが確かにわいてくる。しかもこれはデジタル化された今も変わらない。結局、「考える」「発想する」のは人間なので、情報を詰め込んだHDDの前でいかにそれを組み立てていくのかは人間に「見える」ということが一番重要なのだと痛感させてくれる本。記録とはまさしく「記憶の物化」なのだ。

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