2007年9月30日日曜日

秋山仁の数学渡世

著者名 ;秋山仁  発行年(西暦);1996  出版社;朝日新聞社
 寅さんを理想とする数学者秋山仁のエッセイ集。一部数学の話もでてくるが内容的には「教育論」ということになるのだろうか。巻末には、桃井かおり、都はるみ、壇ふみ、風吹ジュンなどの大女優陣との対談も収録。で、この秋山氏の教育論ってやっぱり一部の天才肌の人間には相当するが、大多数を占める「一般人」にはやはり無理な教育論ではないかと思う。人間の内発的動機で何の強制もなく、学習を楽しむということができればそれはもちろん理想的だが、学問の世界はとてつもなく奥が深い。学校の中間テストであれ、社会人の資格テストであれ、何らかの達成度を示す目標がないと、わけのわからない袋小路に入ってしまう可能性もある。なんだかんだといっても、一定の暗記は必要だし、テストも必要で、要はテストに受かることを目標としつつもそのプロセスを楽しみ、さらに別の目標達成をめざす…というようにプラスのサイクルを描けるかどうかが分かれ目だと思う。資格も偏差値もある意味ではすべて途中経過をはかる「ものさし」のようなもの。それは手段であって目標ではない、という位置づけさえできれば、別に暗記主義が悪いとも詰め込み主義が悪いとも個人的には思えない。

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