2007年9月30日日曜日

グッド・ラック

著者名 ;アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス 発行年(西暦); 2004  出版社;ポプラ社
 2004年に半年で45刷を重ねたベストセラーの赤表紙バージョン。もともとは緑の表紙だったが、冬を意識して赤い表紙のバージョンを出版したようだ。ポプラ社というと、「同族経営」に異をとなえたサラリーマン編集者がその後代表取締役となった出版界でも珍しい風通しの良さそうな児童文学専門の会社、というイメージが強いがこれは主にビジネスパーソン向けの一種の「自己啓発的な児童文学」。アーサー王伝説には必ず登場してくるマリーンがなぞなぞを出す。それに対応する対照的な二人の騎士の行動がストーリーになるのだが、なるほど大人に売れる理由もわかる。なにせ「生物学的に合理的」な行動を片方の騎士がとるので、我とわが身をふりかえるといろいろ反省すべき点が読んでいるうちにじわじわ滲み出してくるという構造…。作家と翻訳の腕もすごいが、これに目をつけた担当編集者の「感性」もすばらしい。「幸運のストーリーは偶然には訪れない」というちょっと残酷なフレーズも用意されていたりする。オカルト的な内容かと思っていたが、むしろ「科学的合理主義」に裏打ちされた「大人向け童話」と考えるべきなのだろう。

0 件のコメント: