2012年7月31日火曜日

読書の技法(東洋経済新報社)

著者:佐藤優 出版社:東洋経済新報社 発行年:2012年 本体価格:1500円
 元外務省主任分析官…という肩書きはもう必要なく、佐藤優が外務省にいて現在は作家というほうがしっくりくる時代になった。職業作家になられてから仕事場を設けたそうだが、働きながらも相当な読書を積み重ね、それで現在に至る。その意味では作家もしくは大学教授などの読書法よりも実践的な部分はある。とはいえ口絵に掲載されている書棚は夢のまた夢だが。
 ちょっと面白いのは113ページ以降に展開されている高等学校の教科書や学習参考書を用いて知識の欠落部分をチェックするという方法。歴史のみならず数学などの教科書も復習して鳩山元首相の行動原理を微分で説明するというあたりが斬新。重積分など高校3年理系までしっかり数学をやって、それからライプニッツなどの原理を現象面にあてはめていくところがユニークだ。誰にでもできる読書法ではないが、それこそ自分に取り込める範囲内で取り込んでいけばそれでよいのだとも思う。少なくとも読む前と読んだ後とでは、個人の読書法がそれこそ微分方程式でいえば微妙に角度が変化していることだろう。箱根の別荘にもあるという書斎がなんとも羨ましいが、都心にこだわることさえなければ、ちょっとがんばれば箱根に2LDKくらいはなんとかなるビジネスパーソンもいるかもしれない。あ。本当に箱根に2LDKが欲しくなってきた…。

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