2012年7月1日日曜日

噂を学ぶ(角川書店)

著者:梨元勝 出版社:角川書店 発行年:2001年 本体価格:571円
 「非常に面白い」という評判は聞いていたが、どうにも入手できなかった新書。amazonで注文して届いてから一気読み。うん、面白い。著者が函館大学商学部に客員教授として授業をもったときの話をベースに「噂」について考え抜かれた理論を展開してくれている。「現場一筋」でとにかく現場にいってみようという発想とさまざまな人間関係のしばらみはありつつも「芸能レポーター」を「報道」として貫く姿勢が興味深い。大新聞の政治部の記事も考えてみれば特定の政治家により過ぎると客観性をそこなうし、飛び込んでいかないとこんどはかなり場違いな議論にもなる。芸能人とレポーターの間にひとつ「谷間」があるように、政治家と政治記者の間にも「区分」はあるべきなのだろう。芸能プロダクションの圧力とテレビ局上層部の圧力を受けつつも「大物芸能人」に肉薄していく様子にとにかくリアリティがある。また「噂」がもつ「力」についても、実話をもとに理解がおいつく。火のないところにたつ噂であってもそれが影響力をもつかぎりは無視はやはりでいないものらしい。
 出版自体は今から10年以上前の本なのに、著者が主張しようとしていたことはテレビからウェブやラジオに場所をかえても同じことなのかもしれない。一読の価値あり。

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