2012年7月30日月曜日

知っておきたいお金の世界史(角川書店)

著者:宮崎正勝 出版社:角川書店 発行年:2009年 本体価格:552円
 ビジネスマナー、流通関係に続いて現在「貨幣」の歴史関連の書籍を乱読中。物品貨幣から金属貨幣、そして紙幣へ…というのが非常にわかりやすい貨幣の流れだが、日本史をみてもそうそう図式通りには進んでいない。富本銭や和同開珎は確かに金属貨幣だが、その後日本では宋のお金や絹、コメなど物品貨幣が再び復活しているようだ。銅の生産量にどうしても左右されてしまうため、日本では物品貨幣が復活したが宋でも銅の生産が枯渇したときに鉄銭などが流通している。それがさらに紙幣の使用にもつながったというから、金属貨幣の限界は貨幣の原材料不足というのが大きそうだ。
 ただどうしてもわかりにくいのが金本位制。教科書などではさらっと書いてあるのだが、一国の金の保有に応じて貨幣を発行する…って意外に難しい。貿易黒字であれば、金の保有が増えて通貨も増えてインフレになる。貿易赤字であれば金の保有が減少してデフレになる。そんな理解でいいのか悪いのかも実は心もとない。200ページたらずの文庫本だが、どういう貨幣がどういう地域で流通していたのかなど知識を仕入れるのには十分。ただし貨幣の仕組みについては巻末の参考資料のほか、もしかするとマクロ経済の本で固定相場制などを扱っている本でないと不足しているかもしれない。

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