2012年7月11日水曜日

夏の庭(新潮社)

著者:湯本香樹実 出版社:新潮社 発行年:1994年 本体価格:400円
 昭和の香りがする小説で、ここには携帯電話もパソコンもない。そして一人暮らしの老人がいてそれはどうも「前の戦争」で嫌な思い出をひきずっているらしい…。
 魚屋さんっていうのも確かに私の小学校の同級生にはいたような。ただ「~さん」とよばれるような一般小売商は現在では量販店や総合スーパーにおされて、風前の灯火だ。コスモスの種を「庭」にふわっとまくシーンが印象的ではあるけれど、今の子供たちはコスモスが一面に咲く光景は観光地でしかみれないのかもしれない。
 なんとなく気があう男3人組だが、終わりはやはり定番どおりの終わり方だ。人間が死んで土に帰り、そこからまた新しい人生が3つ育っていく。あれ。これは植物的だ。

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