2012年7月17日火曜日

リストラなう!(新潮社)

著者:綿貫智人 出版社:新潮社 発行年:2010年 本体価格:1300円
 この本の元ネタは今なおブログで閲覧できる。準大手とされる音羽系の某出版社45歳会社員が早期退職制度に応募して退職する当日までが描写されている。準大手とはいっても退職金がなんと●●●●万円という破格の条件で、世間一般でいう「リストラ」とはかなり趣が異なる。とはいえ、出版業界がシュリンクしている状況や電子書籍にむけての戦略などあれこれ読者に考える材料を与えてくれる書籍であることは間違いない。ブログの末期からはリアルタイムでROMしていたが、それから約2年が経過してなお、紙に印刷するという書籍も電子書籍も今ひとつ業界全体としては新基軸が打ち出せていない。流通の原理がしばらく出版の世界では正常に働いていなかったのと、IFRSの収益計上基準ではおそらく否定されるはずの問屋への引き渡し時に収益を計上する方法とが、実態をわかりにくくさせていたのではないかと思う(書店で顧客がお金を出して書籍を買うのが本来の売上計上基準か、と…)。とまれ、ここまで具体的に年収やら退職金の金額などまで言及した書籍はこれまでも、今後もなかなか出てこないだろうから、1級の資料としても末長く読み継がれる書籍(ブログ)になりそう。残念ながら書店ではあまり売れなかったみたいではあるが、こういうブログから書籍を作るという手法、もっといろいろな分野ででてきてもよい気がする。

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