2012年7月17日火曜日

貧乏はお金持ち(講談社)

著者:橘玲 出版社:講談社 発行年:2009年 本体価格:1600円
 マイクロ法人を利用した「生き方」「哲学」が語られる。いわゆるフリーエージェント社会に向けた提言だが途中ダイエー創業者の中内功のエピソードやナビスコのマネジドバイアウトなどのエピソードも挿入され、興味深く読み進めることができる。法人実在説と法人犠牲説という法人格をめぐる対立だが著者はどちらにも肩入れせず、「実在説と犠牲説は混在している」という形で現状の説明を進めていき、法人にまつわる法制度や会計制度、税金制度について説明が加えられる。で、衝撃の結論が最後にでてくるのだが、それは「個人と自由」の問題。「自由にいきたい…」という人は多いが、それは本当にそうなのだろうか?ということ。ファイナンスの本と思いきや、実は近代が生み出した「自由」ってなに?という哲学的な問いが最後に隠されているのが味噌ではないかという…。この本の内容はすべて合法だが、あまりそれを実践しようとする人が少ないのは、やはり「自由」に対するスタンスと、「売上そのものを上げる力」がないと結局節税だのフリーエージェントだのといっても始まらないよね、ということになるのだろう。300ページを超える大部だが興味につられて一気に読める。

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