2012年7月1日日曜日

一人では生きられないのも芸のうち(文藝春秋)

著者:内田樹 出版社:文藝春秋 発行年:2011年 本体価格:571円
 学生時代、特に4年生のときには「なんで働かなきゃならんだろう…」と思い悩んだことを思い出す。大学院にいこうか…ともちょっと考えたが、論文を作成して一定の評価を受けてさらに新しい学説を発見するというとてつもない知の深海におそれをなして一般企業に勤めた。で、それから●●年、想像をこえるいろいろな出来事があったが、大学院にいかず、そこそこ勤務してきたことでまあよかったかな、と思っている。「適性にあった仕事がみつからない」というのが今の失業率の高さになっているが、著者は「労働は義務である」とばっさり。「まずは働いてみてよ、それで何にむいているかわかるから」ということだ(95ページ)。さらに労働の成果は集団に帰属するとも。「やりがい」という言葉にひそむ安定した社会という前提にも著者は警鐘をならす。
 タイトルだけでは読者はなんとも判断できない内容ではあるのだけれど読書もまあ「読んでみてからわかる」っていう部分はある。読まないうちから「だってつまらなそうだもの」というのは非論理的だ。で、社会の「常識」とポストモダンの「常識」って案外親和性が高いというのもこの本を読んできづく。前衛的な芸術家がときには反社会的な行動とることあるんだけれど…やはりそれって無理がある。無理があるとたいて次の世代には継承されないんだよね…。

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