2011年11月14日月曜日

民法改正(筑摩書房)

著者:内田貴 出版社:筑摩書房 発行年:2011年 本体価格:760円
 契約法の改正作業が進行しているのは伝えられていたが、その方向性を立法担当者がわかりやすく解説してくれたのがこの本。新書でしかも平易な文章で著述されており、契約法の改正がまず市民にとって「わかりやすく」しかも判例などですでに暗黙のルールとして機能している理論も条文に盛り込む予定とか。必然的に条文数は現在の1044条よりも増加する可能性が高いが、ドイツやフランスの民法の条文が紹介され、日本の民法の条文がむしろ世界的には少ない部類であることが説明される。取引が拡大すれば契約法も国際化していくという分析から、国際標準に出遅れたIFRSの例なども引き合いに出される。確かに民法については条文に付属して各種の最高裁判例なども引き合いにしなければ現実の取引には対応しきれない面が強かった。ただし、そうした暗黙のルール(解釈や判例などのデータベース)を知らなければ民法を活用するのが難しかったのがこれまで。条文を増やして適用場面を具体的に指示することで確かに市民生活の民法はより使いやすいものになる。ただし、おそらくそれでも現実の変化のほうが多様化していくだろうから10年後20年後はさらに民法の条文は改正が積み重なるとともに近隣諸国や欧米との標準化もっ住んでいくことが予想される。書店では軒並み平積みで、実際にかなり売れているようだ。民法を知らない読者でもおそらく理解が可能な内容に。

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