2011年11月8日火曜日

海の都の物語 6巻(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2009年 本体価格:400円
17世紀をむかえ、海ですごすベネチア人よりも陸ですごすベネチア人のほう増えてくる。経済合理主義がある程度機能していたベネチアでは、宗教改革の影響もあまり受けずにすんだが、トルコとの戦争が続く。そしてカリスマ的な指導者には警戒を深めていたベネチアもモロシーヌという戦争の英雄を元首にすえる。そしてフランス革命が起こり、ナポレオンがイタリア半島に攻め込んでくる…。直接的にはナポレオンとオーストリアによる戦闘がイタリア半島で発生し、さらにはナポレオンによるベネチアへの不信がベネチア共和国の共和制を崩壊させるにいたる。ただ、ローマ帝国がそうであったように、ベネチア共和国も、戦争による壊滅的な被害によって滅ぶというよりも内部から時間をかけて崩壊していったという印象が強い。著者の筆はベネチア共和国にやや厳しく、そして哀愁も感じさせるタッチになっている。巻末には西暦452年から1797年のベネチア共和国の滅亡までの年表。日本史との対照表も付録されている。

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