2011年11月26日土曜日

砂糖の世界史(岩波書店)

著者:川北稔 出版社:岩波書店 発行年:1996年 本体価格:820円
 なんと岩波書店のジュナイブルで、この内容。高等学校の世界史の授業では夏休みの課題や副読本に指定している学校も多いというが、納得の内容で地図も豊富。さらに貴重な絵画や写真も掲載されており、「砂糖」という「世界商品」を題材にして、近代の世界史があぶりだしとなる。しかも教科書の世界史ではどうしても大事件中心の著述となるが、「砂糖」という題材を活用することで近代の人間(主にカリブ海、英国、フランスなど)の生活の様子もうかびあがる。さらに地域別の著述が、この本を読むことで関連性をもって理解することができるという効用。これがジュナイブルとして発刊され、さらに2011年で第28刷というのも当然のことかもしれない。一応「砂糖」の世界史ではあるものの毛織物、綿織物などの素材についても言及されており、教科書の説明事項の理解をさらに深めるのに有用だし、社会人にとっても身近な商品の歴史や商品のネットワーク性みたいなものを理解するのに有用だろう。一種の巨大な流通の歴史ともいえる。

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