2011年11月8日火曜日

ビジネス「論語」活用法(三笠書房)

著者:小宮一慶 出版社:三笠書房 発行年:2011年 本体価格:1300円
いわゆる「自己啓発」系の書籍には用心しているのだが、その中でも小宮氏の書籍は別枠。「論語」の文言を利用しながら著者の人生哲学が語られるという枠組みの本だが、おそらく自分が20代のときだったならば読まなかったかもしれない。ただ、「正しい生き方」をしていたら、後から「利」や「楽」(楽しさ)がついてくるという考え方は、実務経験を通じて「園通りだな」と実感できる。金儲けを第一に考えるのと現在の株式会社の「営利性」とは似ているようで違う。現在の株式会社は法令順守や社会貢献なども含めて消費者が市場で購買活動を決定している。環境にやさしくない会社の商品はたとえどれだけ安くても購買活動は鈍るわけで、自動車会社やエネルギー産業は社会貢献活動を含めて総体として営利を獲得しているわけで、「ケチに徹する金儲け」とは意味合いが違う。その意味では「正しく生きる」という大道が最初にあって次に当期純利益が算出されるわけで、「金儲け第一主義」と現在の株式会社の当期純利益は必ずしも一致していない。テクニカルなスキルについては、それはそれで大事なことだが「小宮ファン」の多くはスキルは別枠で、ともすれば安易な金儲けに走る自分自身をいさめようとしているのではなかろうか。124ページに紹介されている「之を先んじ、これを労す」といった言葉はどんなリーダーシップ論よりも実践性と「正さ」に満ち溢れている。

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