2011年11月14日月曜日

統計・確率思考で世の中のカラクリがわかる(光文社)

著者:高橋洋一 出版社:光文社 発行年:2011年 本体価格:740円
 理学部数学科卒業の著者が経済学を学び始め、昔では珍しかったベイズ統計学について語る。アメリカの連続ドラマで「ナンバーズ」という映画があるが、その中に登場してくる数学者もベイズ統計学を使って犯罪者の居住地を割り出していく場面が描かれる。主観的確率から初めて、客観的事象をもとに確率をどんどん変更して「真実」に到るという手法、今では書店でも「ベイズ」の文字を見ることがかなり増えた。で、この本で経済誌などでもよく用いられる「~%」の意味とその分析について、かなりわかりやすく解説されている。タイトルはやや大仰な感じがしないでもないが、これは書店の棚で目立つようにするためにはやむをえない措置ではないかと思う。原子力発電所の事故から始まり、復興政策の財源や震災後のインフレ懸念についても最後は言及する形をとる。一貫して著者は復興財源については、増税ではなく国債で、しかも日銀引き受けによる国債消化で、クラウディングアウトを防止し、さらに足りない部分については国債整理基金などの埋蔵金の取り崩しを提唱。非常にわかりやすい言論なのだが、経済政策については必ずしも「わかりやすい」政策が「正しい政策」とは限らないのが難しいところ。

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