2010年6月12日土曜日

フランス革命の肖像(集英社)

著者:佐藤賢一 出版社:集英社 発行年:2010年 本体価格:1,000円
評価:☆☆☆☆
 「肖像画」にこだわってフランス革命の登場人物を時系列でとらえていった作品。ジロンド派が失速してジャコバン派が隆盛をほこり、そして王政復古へ…。フランス革命そのものよりも「その後」の「血の粛清」の嵐が、肖像画があることによってかえってしみじみ伝わってくる。歴史の本というよりも、やはり絵画を織り込んだ文芸書と考えるべきだろう。ロラン夫人の肖像画は初めて見たのだが、サロンを経営している「おかみさん」といった感じで、こういうコンパクトな解説で4色でしかも場所をとらない新書サイズの本という企画がいい。展覧会などで購入するパンフレットも資料は充実しているのだが、あまりにも重くて厚く、必要なときにさっと取り出せないが、新書サイズだと「あの人は…」と思い立ったときに検索もできる。やや単価が高いが紙がわりと高価なコート紙で4色印刷ということでいたしかたがない。携帯性に優れているというメリットを考慮すればやはりお買い得な感じである。

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