2010年6月14日月曜日

トウモロコシから読む世界経済(光文社)

著者:江藤 隆司 出版社:光文社 発行年:2002年 本体価格:680円
評価:☆☆☆☆
 元総合商社マンだった著者が「トウモロコシ」の相場や育成状況から世界経済を読む方法をコンパクトに説明してくれる。トウモロコシの食用需要よりも飼料用需要のほうがはるかに大きく、またさらに近年では工業用途も拡大している。需給相場の見方も現場を数多く積んできた著者ならではの独特の世界観が披露されるとともに、アメリカのトウモロコシの物流の態様、アメリカの食糧法の制定内容の厳しさなどがつまびらかにされていく。
 大豆の相場がトウモロコシの相場の先触れとになるとか、おそらく総合商社にとっては常識レベルの話かもしれないが一般にはあまり知られていないエピソードも満載。購入してから数年間は放置しておいた本なのだがあらためて読み直し始めるとページをめくる速度が増していく。工業製品の市場とはまた異なる様相を示す穀物市場の説明がとにかくユニーク。経済学、とりわけ資源経済学や農業経済学を専攻している学生には特にオススメの新書だ。

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