2010年6月6日日曜日

警官の紋章(角川春樹事務所)

著者:佐々木譲 出版社:角川春樹事務所 発行年:2010年 本体価格:686円
 北海道警察シリーズ第3弾。第1弾と第2弾ともリンクしつつ、さらにストーリーが膨らみ始め、登場人物の活躍する舞台もだんだん拡大していく。パソコンのセキュリティもかなり高度になり、連絡方法も「なるほど…」というようなものに。「人間のやることはたいてい履歴のなかに予兆がある」という警務部のベテランの発言が興味深い。行方不明となった警官の逃亡先をつきとめるのに、まず着手したのは本人の履歴を仔細に分析してその方向性を見極めるのだ。このプロセスが非常に興味深い。
 「履歴書」とか「経歴」は確かに表面的な事象以上に「その後」を予測しうるものかもしれない。となるとこの小説の中ですでにファイル観察対象となっている中年一匹狼の佐伯宏一警部補もあまりこのシリーズのラストではハッピーエンドにはなりそうもないのだが…。

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