2009年11月23日月曜日

ビジネスシンク(日本経済新聞出版社)

著者:デイブ・マーカム、スティーブ・スミス、マハン・カルサー 出版社:日本経済新聞出版社 発行年:2009年 評価:☆☆☆☆☆
 単行本が出版されたのが2002年だがそれから7年後に文庫化されたものを読了。自己啓発の書籍なのだとは思うが、問題解決の本とも思える。8つのスキルというか枠組みをチェックしていくことで、本当の問題点の「解決」あるいは「問題点の放置」がテーマということになる。チェックテストがついているが、やはり後ろのほうに行けばいくほどテストの評価は低くなる。「原因を見つけろ」というのはいわば「なぜ」を繰り返していくことだが、これってどこかデザイナーの佐藤可知士さんの「問診」に非常に類似しているような気がする。イメージやポリシーを掘り起こしていくために物理的世界をまず整理整頓してから、知性的世界を整理して、最後には独特のデザインをひとつのソリューションとして生み出す。このビジネス・シンクを暗黙のうちに実行していたのはビジネスパーソンではなく、高名なデザイナーであったのかもしれない。波及効果やインパクトも重視しなくてはならない理由が本文では例示とともに著述されているが、ロゴの製作などはまさにこの波及効果やインパクト。佐藤可知士さんの書籍とこの本を組み合わせて読むとその類似点が浮かび上がるとともに、ともすれば抽象的な内容になりがちなこの本を具体的な世界で理解することができるだろう。内容的にはかなり高度なスキルを求めているが、「ソリューション」というのはおそらくこの本が示しているように「その場しのぎの言い訳」とはまた違ったトータルなものではなくてはならないことを自覚。

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