2009年11月13日金曜日

グッド・ラック(ポプラ社)

著者:アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス 出版社:ポプラ社
発行年:2004年
 発行された当時の5年前にもこの本を読んだ記憶がある。当時はなんていうことのない「大人の童話」だと思っていた。しかしふと読み直してみると「もしかしてこれは知恵と工夫の物語か」と再認識。二人の騎士がでてきて、アーサー王物語のもう一人の主役マリーンの「お告げ」をもとに、「森」にでかけて「幸運のクローバー」を見つけ出すという宝探しの物語。当然のことながら、態度が悪くて傲岸な騎士には他者はそれなりの対応をし、謙虚に相手の都合を聞いてから物事を聞き出すホワイトナイトは、情報を得る。これってある意味当然で、傲岸な人間にはだれも何も教えようとも思わないが、人の話をいろいろ聞いて参考にしようという姿勢の人にはあれこれ教えたくなる。石やら木やら「無口っぽいキャラ」があれこれしゃべりだすのだが、そこから聞いた情報を活用していった騎士と、額面どおりに受け取った騎士とでは発想がまるで正反対の方向に向かう。一応教訓めいた言葉で「下準備が大事」とかいっているが、下準備そのものはこの二人の騎士の間にそれほどの差があったとは思えない。むしろ「やる気」は両方ともあったし、準備そのものも予備知識もあったが知りえた情報や知りうる情報の範囲に大きな差があった、ということなのだろう。その意味ではこれは「運」ではなくて「情報活用能力」の「物語」なのだと再認識する。どうってことない日常生活もひとつの情報をどういうふうに解釈するか(前向きに解釈するか後ろ向きに解釈するか)でぜんぜん違う結果を招く。「俺様」という考え方よりも「私の考えはまずさておき」という情報収集と分析能力の差がラストの差になってあらわれたのだろう。

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