2012年9月11日火曜日

知の編集術(講談社)

著者:松岡正剛 出版社:講談社 発行年:2000年 本体価格:720円
 とにかく訳もわからないまま「表記の統一」をしていた時代から、ある程度さらに先へ進むと「表記の統一」をさらに超えたところでの「統一」や「変化」を模索する…というボンヤリした行動が「編集作業」で、そのアイマイな作業に「なんとなくこういう方向性ではないのか」という指針を与えてくれるのがこの本。
 とはいえ、即効性があるとか急になんらかの「術」が身につくというよりかは、「公共の福祉」という言葉と「権利の濫用」という言葉があれば、それが互いに「共振」して、なにか効果的な配列はないものか、と模索するようになる、という「術」というよりも、「文化継承」とか「大きな過去の遺産の流れ」みたいなものに覚醒するといった感じか。まったくのオリジナルではなくても、ある一定の専門用語であれば、それなりに先人たちの残した数多くの書籍があり、そうした書籍の構成を組みつつも、時代の変化や個別の書籍特有の状況をみていくと、そこそこ落ちつべくべき構成というものが浮かび上がってくる。完全にデジタルではないが、かといって完全にヤマカンというわけでもなくて、大きな全体像のなかで個別の事象の落ち着くべき様子が一定の秩序で定まってくるといった感じ。それが編集なのではないかと思う。コーンポタージュのスープのうえにのっかっているクルトンの個数やのっけ方みたいなものではなかろうか、と思う。ただそうしたイメージを思い浮かべたのは実はこの本を読んでからで、実をいうと、「固い編集」とか「柔らかい編集」といったイメージすら自分にはなかったのだ。本の内容はすべてイマジナリーに認識して個別のことがらはまったく記憶に残っていないのだが、こうしたイメージがなぜか残存する「本」、しかも「ノウハウ関係の本」(?)って貴重だ。

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