2010年2月11日木曜日

かしこい風俗嬢マニュアル(データハウス)

著者:成合緋砂 出版社:データハウス 発行年:1994年 本体価格:971円
 バブル崩壊後の風俗産業を「風俗を提供する側」からレポートした本。平成不況はこの1994年から2010年の現在まで続いているのだなあということをまず実感。セット価格で客単価を押し下げたり、借金経営で苦しむ経営者といった姿はこの本からするともう15年以上続いてるわけだ。また風俗嬢の「首切り」の話もかなりリアルに描写されており、「出勤待機は風俗の肩たたきだ」という一文にもそうした側面がうかがえる。また男性従業員の退職率が高い理由もそれとなく説明されており、ヒエラルキーがオーナー、店長、女性、男性従業員という形で最底辺に位置づけられているストレスで半年ももたない男性従業員が増加しているのではないかと推察される。また外国人女性の輸入代行をおこなう行政書士も「値崩れ」を起こしているという周辺産業の崩壊ぶりも説明。かなりリアルで説得力のある内容からするとやはり著者は実際に業界に身をおいている人なんだろう。あ、そしてもっとリアルな経験則だが、「客なんで2ヶ月から半年のサイクルで入れ替わる」という妙にシビアな経験則。こういう本での新刊は最近あまり見なくなったが、これって1990年代のサブカルがもはや書籍の形ではなく、ネットで公開されるようになってきたせいかもしれない。ちょっと残念なような気もするが、出版する側としてもペイするかどうかわからないジャンルには新刊を出しにくいという事情があるのだろう。

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