2010年2月28日日曜日

エッチ産業の経済学(インデックス・コミュニケーションズ)

著者:岩永文夫 出版社:インデックス・コミュニケーションズ 発行年:2008年 本体価格:476円
 「ポン引き」と「客引き」の違い。それは道路にでて客を勧誘できるのが「ポン引き」で、店舗内での呼び込みしかできないのが「客引き」。これは従業員かそうでないか、単に契約を締結しただけかそうでないのかの違いで、たとえば従業員が路上で客引きをした場合には風俗営業法違反で営業停止処分を受けるケースなどがありうる…。いろいろ内幕が書かれているのだが面白いのは求人広告の話。「行広告」と「連合広告」の2種類があるがスポーツ新聞などの場合、「行広告」の相場は1行で5,500円。この行広告を1ヶ月あたりずっと掲載すると求人広告は約80万円となる。平均的なお店では広告宣伝費は50万円から60万円というから、従業員の確保もかなり大変な業界であることはわかる。「店にとっていい客だとサービスも期待できる」「…が場合によってはいい客は扱いやすいバカな客」という矛盾するようだが、こうした表と裏の瀬戸際の世界の様子がうかがいしれる著述もある(45ページ)。「オミヤゲつきの裏返し」も著者は提唱していたりするが、『裏をかえす』は江戸時代の遊郭からの言葉でお店の名札を裏返しにして「お客さんがいますよ」と周知させること。つまり本指名。このケース、なぜゆえに喜ばれるかというと、本指名料はたいていの場合には、指名された女性に全額がいくからだという(他の金銭は4:6から6:4ぐらいの相場らしいが最近では1:9という比率もでてきているとか)。で、著者の分析でさらに面白いのは「指名ナンバー1」には絶世の美女はいなくてむしろ安定感がありソツのない女性が多いとのこと。ただし著者は法令の改正や締め付けから法に適合した優良店舗から、モグリの裏家業への深化が進むことを懸念している。ソープランドがマネーロンダリングに利用された実際の事件なども紹介されており、タイトルとは裏腹に中身はかなりの政治経済的内容。

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