2010年2月13日土曜日

加藤晋介の商法入門(自由国民社)

著者:加藤晋介 出版社:自由国民社 発行年:2010年 本体価格:1700円
 20代のときに勉強しておいて良かったと思うジャンルに会計とマクロ経済学、そして法律がある。この商法入門では新たに制定された会社法について基本的な考え方から説明してくれているのだが、その基本原理は旧商法の「会社法」の原理とほとんど同じで、そこに新たな国際化や組合企業といった概念が含まれてきたともとらえられる。以前の商法の欠点を克服しようと立法者が考えた結果が今の状況だが、状況そのものが複雑なので会社法もどうしても複雑になるというわけだ。
 株主平等の原則や株式譲渡の自由の原則など旧来の考え方の「いい部分」は残されているわけで、結局法律が改正されてもそれまでの勉強が無駄になるということはない。ただある程度の知識がないと、ベースになるものがないから、どこが新しくてどこが古いのか、そして「権利能力なき社団」の法人性をいかに明確化していくべきかといった課題について理解することが困難になる。今の複雑な状態でいきなり民法や会社法の勉強を始めるのはかなり大変ではないかと。そこでオススメはこのシリーズ。まず商法入門を一気に読み通して、このスペースでここまでダイナミックにわかりやすく説明できるものかと驚いた。ある程度はしょった部分はあっても、エッセンスはしっかりまとめてくれている。実際の弁護士が著者であるため、現実の壁についても説明してくれているし、司法試験受験者でなくても十分役にたつ「考え方」が紹介されている。本体価格が1700円といささか高いのだが、いきなり会社法の逐条解説から勉強するよりも、まずは優れた入門書を手に取ること。それが一番ではないかと思う。

0 件のコメント: