2012年4月23日月曜日

フイヤン派の野望(集英社)

著者:佐藤賢一 出版社:集英社 発行年:2012年(文庫本) 本体価格:543円
 毎月小説フランス革命の文庫本が書店に並べられるのが待ち遠しくてたまらない。もちろん歴史を扱っているわけで、ヴァレンヌ事件の直後、一気に共和制に向かうジャコバン派からフイヤン派が離脱。立憲君主制をめざしてラファイエット派からパルナーヴなどジャコバン倶楽部の右派までを幅広く結集。そのあと偶発的にシャン・ドゥ・マルスの虐殺が勃発…。理想主義者のロベスピエールの心境などはこの小説を読まないと想像力が追いつかない。その後のギロチンによる「貴族」やフイヤン派への「虐殺」を想起しておこないと、結果を知っている読者にとっては、ロベスピエールに肩入れするわけにはいかないのだが、なぜか読んでいるうちにロベスピエールなどの左派に肩入れしたくなるのは、著者による一種の「仕掛け」か。
 理想にもえるデムーラン、ダントン、マラとそしてロベスピエール。しかし歴史の教科書はデムーランもダントンもギロチンに消える運命を教えてくれる。

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