2012年4月5日木曜日

カリスマ編集者の「読む技術」(洋泉社)

著者:川辺秀美 出版社:洋泉社 発行年:2009年 本体価格:740円
 「他人」の「読む技術」というのは、非常に興味深い。まして「カリスマ編集者」の「読む技術」。非常に興味深く拝読した。「読書」を非常に重要なアイテムであるかのように紹介する本が多いのだが、実際のところパソコンであっても「文章」は読む。媒体がディスプレイか書籍なのかの違いであって、私個人は読書は好きだが必ずしも「書籍」に限定される必要性は今後もないと考えている。電子書籍もいくつか拝読したが、哲学や経済学系統の書籍は電子には不向きだが歴史関係はハイパーリンクがきくものだと紙の書籍よりも関連知識が入手しやすいというメリットがある。一定の技術はあろうけれど、これまで読んだ読書術で共通しているのは以下の2つ。
・読む本のジャンルを限定しない。
・読みっぱなしにしないで必ずなんらかのフィードバックをおこなう。
 ジャンルを限定することで本当に面白い本とめぐりあえるチャンスは減る。さらにブログでも読書録でもなんらかの記録にとどめておくことで、読んだ内容を咀嚼することができる。で、この「カリスマ編集者」もやはり「書くこと」を推奨している(51ページ)。ただ読む本の対象を4つのジャンル(感動・生命・娯楽・経済)に分けて読むというのは若干気になった(67ページ)。法律の本などは「感動」なのか「娯楽」なのか…。本来の趣旨は「自分が好きなジャンルばかり読んでいると思考が固まって」しまうという著述があり、こちらが本音だろう。良くない本の例としてコピーやレイアウトや版型が奇抜なものは避けるようにというアドバイスには納得。内容に自信があれば必然的にスッキリしたかたちにあるはずだからだ。まあ要はこういう本を読んでも自分自身の読書に対するスタンスはあまり変わらないのだが、それでも変わるとすれば、先の2つのテーゼをより「強化」する読み方だろうか。

0 件のコメント: