2012年4月10日火曜日

つぶれる会社には「わけ」がある(日本経済新聞出版社)

著者:林總 出版社:日本経済新聞出版社 発行年:2012年 本体価格:667円
 同窓会で始まった起業の「成功」と「失敗」の物語。現金主義(発生主義では資金繰りの情報はつかめない)とキャッシュフロー計算書、個人が会社を始めるときの手続き(80ページ)、買収の落とし穴(114ページ)とけっこう実務的な知識がストーリーに盛り込まれていて面白い。なかでも126ページから展開される信用状(L/C取引)の説明が面白い。現金取引は貿易ではなかなか難しいので銀行が一種の支払い保証をおこなうもの。貿易実務などぜんぜんわからない読者でも為替手形と船荷証券の売買を円滑におこなうシステムといった理解ができると思う。結果良ければすべてよしではないが、最終的には全員仲良く明日に未来を…という展開でこれはまあ予定調和的にしょうがない。まあベンチャー企業の陥りがちな資金繰りの失敗や予想以上の成功率の低さといった点は、この本に限らずもっと世の常識として喧伝されてもいいと思う。自己破産してしまうとやはりクレジットカードは使えない、ローンは組めないなど生活にデメリットがでるほか、経営者としても一般社会人としてもあまり名誉なことではないことは確か(多重債務に苦しんでいる人には救済策になり、それを否定するわけではない)。夢見て自己破産するよりもまず足元を着実に固める生き方が見直されてもいいとは思う。実効税率という考え方が理解できると借金をかかえて投資して、それを回収していくのがいかに難しいか、ということもこの本は教えてくれる。

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