2010年10月31日日曜日

オロロ畑でつかまえて(集英社)

著者:萩原 浩 出版社:集英社 発行年:2001年 本体価格:457円
「村おこし」にかける山奥の村は広告代理店を活用した勝負にでた…。まあ、ありがちな設定で実は話題をよぶほどにはならないというのがこの手の地域産業振興。その地域産業振興と小さな広告代理店がタッグを組んだらどうなるのか…という設定で、「んなばかな」というところまで作者が追求してくれる。いきあたりばったりで、それがまあうまくいくこともあれば、いかないこともあるという…。男女の恋愛のもつれなどもサイドストーリーで描写されているのだが、心が離れていく男性の「ホクロ毛」の長さの描写がうまい。実際、本人は気づいていなくても長年交際しているうちに相手しかしらないということも当然出てくるのではないかと思う。それが白髪のホクロの上にはえた長い毛だったというあたりがまあ、散文的だなあ、と。

ひとしきり読んで笑って、まあそれから後にはまた現実にかえって…というのがこの手のユーモア小説の一種寂しさも感じる読後感。こういう村、実際にけっこうありそうなんだが、おそらく30代、40代もいなくなっている村、でてきているかもしれないな…。

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