2010年10月15日金曜日

セックスエリート(幻冬舎)

著者:酒井あゆみ 出版社:幻冬舎 発行年:2006年 本体価格:457円
いわゆる風俗店の「ナンバー1」の女性を取材して、著者なりのホスピタリティ哲学を導き出していく展開になっている。意外なポジションにいる意外な人から「これだ」という結論にたどりつく著者のインタビューの結果がでてくるのだが。学習するだけのことはして、それからさらに自分なりのオリジナリティを出していく…というのは他の職業でも同じかもしれない。ナンバー1にそこまでして哲学をもとめるのは、日本だけの風習なのかどうなのか。ただ野球でもエースや4番打者には、他のピッチャーやバッターとは異なる礼儀作法や高い倫理感が求められるのと同じで、お店のナンバー1を名乗る以上、そのお店の品格を具体化した存在になってしまうのかもしれない。こういう個人事業主に近い職業だと、サービスについてもお店のいいなりではお客がつかない、ではどうすればいいのか、ということで各人各様の知恵を絞る。しかもいろいろなリスクが高い職業でもあるわけで、そうした中で一種の強靭さとしなやかさを蓄積していった結果のナンバー1.登場人物はさまざまだが、「できることはないか」と探索していく姿のなか、ある一定のところで「お金」の話よりも別の次元に話がうつっていくのが興味深い。

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