2010年10月16日土曜日

神様からひと言(光文社)

著者:萩原浩 出版社:光文社 発行年:2005年 本体価格:686円
若い世代に向けた企業小説というべきか。高杉良さんの小説が中年の脂ぎったビジネスパーソンの闘争だとすると、そうした世代に牙をむく27歳の若き転職入社の奮闘が一種さわやかでもある。まあ、40代、50代であれば、相手のスーツや名刺を値踏みしたり、会話の教養なんてものをおしはかったりもするかもしれないが、この本の主人公やタトゥーを入れた若い青年。すべてストレート勝負で「マルちゃんラーメン」のために奮闘する。読んでいて面白いのは「クレームの対応集」。相手の話を良く聞く、まず謝罪する、そしてなによりも商品知識がクレーム対応を可能にするという実践例が豊富に掲載されている。商品知識とはいってもとおりいっぺんのことではなくて実際に食品産業であれば何度も食べてみて味や調理方法、他社の動向などをふまえたかなり詳細な理解。この哲学を他の業種におしすすめていくと、汎用性があるテクニックとして使えるようにもなるだろう。一定の年齢層以上には「んなアホな」というような場面もないではないが、全編とおして爽やかさとエネルギー全開のサラリーマン奮闘集。

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