2010年10月19日火曜日

家のない少女たち(宝島社)

著者:鈴木大介 出版社:宝島社 発行年:2010年 本体価格:457円
評価:☆☆☆☆☆
宝島というサブカル、ポップな印象を持っていた出版社の本としては、重たい内容を丁寧なインタビューと取材で重ねた教育問題のあぶり出しに近い内容になっている本。教育問題というよりも家庭を含む社会問題なのかもしれない。家庭内暴力、いじめ、性的虐待、妊娠とあらゆる不幸が18人の少女たちにふりかかる。その後の選択肢として「家を出る」「児童自立支援施設を出る」といった行動をとった彼女たちにはそれなりの動機と理由がある。喫茶店Rを根城にしてその後逮捕された売春グループに所属していても家庭や施設では得られない「共感」「仲間意識」を得られたのだとしたら、だれも彼女たちの選択が単純に間違いだったとは言い切れまい。
書店でこの本をとったのは、ある知人が、「自分には父親が3人いる」「1人目は賭博で3人目は酒乱だった」といっていたからだ。その結果、家にはいづらくその人は高校時代を彼氏の家を渡り歩いてすごしたという。つまりは、この本の女の子たちと同じ境遇だったわけだ。
痛々しい内容に読み終わった後はショックを受けるかもしれない。あるいは「よくある話さ」といって切り捨てることもできるかもしれない。ただし表の社会ではけっしてでてこない同時代の流れをこの本で知ることができる。

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