2010年10月15日金曜日

「性感染症」常識のウソ(NHK出版)

著者:林義人 出版社:NHK出版 発行年:2006年 本体価格:700円
いわゆるSTDについて解説してくれている新書。読者層としては思春期の子供をもつ親といったところだろうか。性の低年齢化などは都会よりも地方のほうが根が深い、日本のSTDの感染率についてはデータ不足(実態はもっと深刻なのではないか)、ダブル感染・トリプル感染などのリスクが紹介されている。抗生物質の開発がウイルスの耐薬性の進化に追いつかない危険など、放置しておくと少子化の原因にもなりかねない現状に警告している。内容的には性感染症以外に、子宮ガン検診は20歳から始まっていることや、クラミジアの放置はHIV感染のリスクを引き上げることなどわりと性にまつわる全体的な問題がとりあげられている。
「寝た子を起こさない」という方式がもう通じない時代で、ある程度正面から問題をみすえていかないと、さらに根が深くなること、さらには学校にまかせるよりも個々の家庭で取り組まないとまずい状態になっていることなど社会全般に向けたメッセージが強い。ただタイトルが非常に率直すぎて、逆にレジに持っていくのには相当心理的抵抗が強いのは事実。読んでみようと思った自分ですら、「レジで自分はどう思われるだろう」とかいろいろ逡巡してしまうので、「レジにもって行きやすいタイトル」というのも考慮してくれるとありがたい。本体価格は700円。新書サイズでは標準価格帯だが、意味不明な写真が1ページ掲載されているページなどがあり、そうしたところにはデータなりデータ分析なり、スペースを利用した造りが欲しかったのが残念。

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