2010年7月18日日曜日

世界を知る力(PHP研究所)

著者:寺島実郎 出版社:PHP研究所 発行年:2010年 本体価格:720円
 「大中華圏」のイメージを中国だけでなくシンガポール、台湾、香港といった地域に拡大して世界を見る方法や、英国・インド・シンガポールをひとつのラインで見る方法などが紹介されている。国民国家のイメージで世界地図をみているとわからないものがみえてくるようになる新書。
 インドのバンガロール(IT革命の基軸地点)とロンドンのラインなど、複雑な要因でからみあう世界情勢をまずシンプルにとらえ、さらに深い知識とデータの蓄積が必要であることを認識させてくれる。「大人の外交」とはいってもアナログな国境付近の様子などデータにでてこない部分のデータをどうするか、という課題がみえてくる。デジタルデータだと移民の数などはすぐ入手できるが、その内訳や動機などは、アナログな取材でないと入手できない。外交専門のシンクタンクが弱いという著者の指摘はインターネットや白書、外交官外交にプラスした地元密着のデータ入手の重要性を認識させてくれる。新書サイズで文字もやや大きめだが地図がところどころに挿入されていて読みやすい。これからの課題がエネルギー問題(グリーン・ニューディール)であることも明確に指摘されており、世界のみならず日本の今後を考える上でもヒントになる部分が大。

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