2010年7月15日木曜日

偶然からモノを見つけだす能力(角川書店)

著者:澤泉重一 出版社:角川書店 発行年:2002年 本体価格:648円
 統計学的思考…でずっと考えていくと息がつまる。情報を集めるにも限界があるし、マメにデータから何らかの法則性を見つけ出すという作業はけっこう面倒だ。そんなときに「あれ?」と思うような情報に偶然でくわすことがある。あるいは偶然から、わき道にそれて違う結論に達することがあったりする。これいわゆるセレンディピティ現象の一種。偶然を楽しむと同時に、偶然と戯れて、偶然を活用していこうという姿勢、この情報洪水のような世界では大事なことではないかと思う。もっとも著者はセレンディピティも普段の地道な努力が必要という注意書きは忘れずに書き添えてあるのだが。
 思わぬ友人や思わぬ助け舟などもセレンディピティのひとつ。そう考えると「必然」ではない「偶然」でけっこう世の中うまくまわっていたりすることに気づく。偶然だけではなくもうひとつ「察知力」も必要な素質になるのだが、目の前にあらわれた「天使」(?)をそこはかとなく気配で察知してしまうような繊細さもセレンディピティのひとつの大事な要素だろう。オカルトではなく、むしろ「感性」とか「偶然を楽しんで別の結果にたどりつくことも是とする態度」みたいなものか。必然や統計的予測だけでは、逼塞してしまう…というようなときに読むと、けっこう別の生き方や考え方ができる「きっかけ」を察知することができるかもしれない本。面白い。

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